疲労破壊とは
構造物の静的強度より低い荷重作用を繰返し受けることにより破壊に至る現象をいいます。コンクリート構造物における疲労現象は、繰返し荷重によりその構成部材である補強鋼材に亀裂やコンクリートにひび割れが発生し、これらの疲労損傷による部材の性能低下が起こり、最終的には常時の荷重作用下において破壊に至る現象を言います。
疲労損傷による性能低下として考えられる現象
1.梁補強鋼材の疲労破断、2.コンクリートの圧縮疲労破壊、
3.曲げひび割れの発生・進展・拡大とこれらに伴う梁の剛性低下
4.コンクリートのせん断疲労破壊(斜めひび割れの進展)
5.せん断補強筋の疲労破断などが挙げられます。
作用する荷重やそれを受ける部材の特性から、鉄道橋桁などでは一般に異形鉄筋などの補強鋼材の疲労が主な検討対象となり、道路橋床版や海洋構造物などではコンクリートの疲労が対象となっています。
- 潜伏期 一方向の曲げひび割れが認められる状態
- 潜伏期 一方向の曲げひび割れが認められる状態
- 加速期 開口などひび割れが挙動し段差、角落ちしている段階
- 劣化期 ひび割れが貫通し、著しい漏水、押し抜きせん断破壊などが認められて、耐荷力の低下が進行すると区分されています。
鉄筋コンクリート床版の疲労による性能低下
- 潜伏期 初期亀裂が発生するまでの期間
- 進展期 疲労亀裂が比較的安定に進展する期間
- 加速期 へき開などが認められるようになり破断に至る期間
- 劣化期 はり部材内の一部の鉄筋が破断し始め、はり部材の耐荷力が低下すると分けられています。