建物の法定耐用年数は、鉄筋コンクリート構造の事務所等で50年、住宅・学校等で47年となっていますが、これらは税法上定められているもので、建物の物理的寿命を示すものではなく、日常点検、定期点検を行っていく必要があります。
戦後から1960年代にかけての高度経済成長期に大量に建設された建物は耐用年数を迎えつつあり、それらの強度が危惧されています。
近年では大地震が発生してコンクリート構造物には重大な負荷がかかり歪や傾きなどから建築物の性能低下が発生している可能性があります。
しかしこの耐用年数は便宜上用いられる数字であって、実際の耐久性と連動しているわけではありません。適切なメンテナンスを行い、60年以上使用されている建物も多数存在しています。 その一方、設計やメンテナンスが正しく行われていなければ建築物の寿命はもっと短くなります。
コンクリートは外的要因、内的要因によってひび割れが発生し、そこから水が浸透して鉄筋が錆びます。
鉄筋が錆びると断面が膨張しますので、さらにひび割れが大きくなりそこから劣化因子が侵入し鉄筋の腐食、コンクリートのひび割れ、剥離、剥落が進行していきます。
ごく小さなヒビであるヘアクラックは、補修材で応急処理ができます。補修材ではふさげないサイズなら、注入工法などもあります。構造上の問題から生じる大きなヒビなどには、亜硝酸リチウムやセメント補修材での補修が必要となります。
コンクリートの傷んだ部分を取り除き、鉄筋からサビを除去、あるいは鉄筋の差替えを行い錆止め塗装・プライマー塗布をした上で断面修復材を充填する工法があります。
素材の混合比やプライマーの塗布状態によっては補修部分が剥離するため、専門的技術が必要です。
小さなヒビでもそのままにしておくと劣化が進行し、補修に高額費用や手間が必要となるため、定期的な点検・早めの対処がお勧めです。